予備試験ルートには4つのメリットと1つのデメリットがある
司法試験の受験資格を得るためには予備試験合格か法科大学院の課程修了のいずれかが必要です。
社会人が弁護士目指すには予備試験ルートを選択するべきなのですが、もちろんその方がメリットがあるからです。
そこで予備試験ルートを選ぶべきメリット4つとデメリット1つを挙げてみました。予備試験にするか法科大学院にするか迷っている方は参考になる部分があると思いますのでよろしければご覧ください。
予備試験のメリット
それでは予備試験を選ぶべき4つのメリットから始めましょう。
司法試験に合格しやすい
予備試験ルートのメリット、真っ先に挙げるべきは司法試験に強いこと。つまり、予備試験組は司法試験の合格が高いのです。
その数字をご覧ください。法務省のデータです。
どういうデータかというと、司法試験合格者がどういった経緯で司法試験受験資格を取得したのかのベスト5、合格率が高い順に並べてみました。
司法試験受験資格取得方法 | 受験数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
予備試験合格 | 353 | 327 | 92.6 |
京都大学法科大学院修了 | 275 | 188 | 68.4 |
一橋大学法科大学院修了 | 180 | 121 | 67.2 |
慶応大学法科大学院修了 | 310 | 186 | 60.0 |
東京大学法科大学院修了 | 315 | 186 | 59.0 |
ご覧のように、予備試験合格から司法試験に挑んだグループの方が、法科大学院ルートからの合格率を凌駕しています。
さらに言えば、ここには乗っけていませんが、法科大学院によっては2割3割程度、場合によっては一人も合格できなかったという法科大学院もたくさんあります。
このデータからハッキリわかる通り、予備試験合格者は司法試験にめっぽう強く、法科大学院ルート組で司法試験に対応できているのは一部だけということです。
予備試験組はなぜ司法試験に強い?
司法試験予備試験合格者は、なぜ司法試験に強いのでしょうか。
最たる理由は、「試験慣れ」だと思います。司法試験予備試験という極めて厳しい試験を直近に勝ち抜いてきた強者は、似たような試験でも法科大学院組では敵わないということなのでしょう。
さらに、その試験を勝ち抜くにはそれ相応の準備が必要です。司法試験予備試験予備校による適切な学習が、司法試験の合格に導いていると言えると思います。
自分のペースで勉強を進められる
予備校には通学講座と通信講座があり、通信講座を選択すれば社会人でも自分のペースで学習ができます。
社会人ですと多くの人が平日日中は仕事をしているわけで特定の時間に特定の場所へ行って授業を受けるということは無理です。つまり、法科大学院ルートは事実上不可能に近いということ。
夜学もあることはありますが、それだって続けていくのはかなり難しいと思います。
イマドキの通信講座は講義はオンラインのweb講義、テキストもオンラインで閲覧できるところもあります。つまり、勉強のTPOを選ばないということ。自宅はもちろん通勤中やカフェ等でも勉強できる。
なんという機動力でしょう!
学歴制限がない
予備試験は学歴要件がないため、大卒以外の方でも弁護士は目指せます。
予備試験のルートが新設されたのも、法曹の門戸を広げるためです。法科大学院では学歴制限があるため(弁護士は高卒でもなれる? 学歴や年齢と弁護士資格の関係)、高卒や中卒の方は弁護士を目指せません。
費用が安い
実際に勉強をしていく上で最も切実な問題と言えるかもしれない費用の問題です。原則として、予備試験ルートの方が法科大学院よりも安く上がります。
概算ですがおおよその費用は算出しておきましたので、興味があればリンク先のページをご参照ください。→ 弁護士になるには費用はどのくらい必要?
デメリット:予備試験の合格率
大きなデメリットは1つだけと考えます。それは予備試験の合格率です。約4%という低水準。その難易度がわかるというものです(予備試験の難易度はどのくらい?)。
もっとも、その分司法試験での合格率は高いわけで、トレードオフと言えると思います。とにかく、予備試験を突破すること。これが弁護士になるための最大のポイントだと思います。
まとめ
ご覧のように、予備試験合格者は、司法試験に挑んでも多くの者がスムーズに合格していき、司法修習を経て最短で弁護士になっていきます。
年齢制限や学歴の件は予備試験の方しか選択肢がないとも言えますが、司法試験に強いところや自分のペースで学習できるというところは積極的な選択肢になり得る点なのかなと思います。
ですので、弁護士になりたいということであれば、予備試験合格を前提に準備を進めるべきなのは明らかです。